「お父さんと乗りたくない」
両親は外出が好きで、毎週仲の良い家族と遊園地などに出かけました。
遊園地で乗り物に乗る時、私は父と乗りたくないと言っていたように思います。
私にとって父は怖い存在でした。
口数はすくないですが、怒ると「おい」と大きな声を出します。
ギャンブルやテレビゲームが好きなところも自分とは合わない気がしました。
「お前の仕事は大変だな」
父は会社から帰っても、ずーっと仕事の関係の人と電話で話をしていました。
いやいやではなく、なんとなくうれしそうでした。
私も仕事をするようになり、父の仕事の話を聞くことも増えました。
父の仕事は運送業で、荷物を運ぶ目的が完了すれば終わり。
でも私の精神保健福祉士の仕事は、人との関係がずっと続いていくから大変だな、と言ってくれました。
小さい頃にはわからなかった父の人となりや少し不器用で繊細なところに私も気づきました。
離れて暮らして
父と母は離婚し、私も弟もそれぞれ家を出ました。
父も会社で役職を持ち、単身赴任をするようになりました。
ずっと実家暮らしだった父にとってはじめて家を離れることになります。
なんとなく不安ではありましたが、
「体に気をつけて」と見送りました。
数年たって
祖母からの電話で、父がアルコール依存症の治療のため入院することを知りました。
アルコールの摂取量に問題があったのは、わかっていたのに、事前に気づいてあげられなかったこと、少し悔やみました。
私にできることはないかと考えましたが、子どもたちを連れて会いにいくことくらいしか思いつきませんでした。
あまり多くを語らない父。
でも治療を受けるのも会社で働くためなのだろうと思いました。
お酒をやめることはありませんでした。
私が小さい頃、父が
「酒を飲んで死ねたら本望だ」と言っていました。
このままだとほんとにそうなっちゃうよ…と思います。でも父は変わらないのかなとも思ってしまいます。
突然の出来事
3月のある日、実家で父と会う約束をしました。
私の子どもたちと会うのを楽しみにしている父。
ゲームをしたり、話をしたり…
いつもなら疲れて寝てしまう父ですが、
私たちがいる間ずっと横にいて子どもたちをみている父。
『今日は元気そうかな』
と思い帰りました。
その2週間後、祖母から父が倒れたと連絡が入りました。
突然のことに驚くというより、実感がありませんでした…
次の回は、父の病状とその経過をかいていきたいと思います。
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